アーユルヴェーダの語源
サンスクリット語のアーユス(Ayus/生命)とヴェーダ(Veda/科学)を組み合わせた≪生命科学≫という意味で、五千年の歴史をもつインド・スリランカ発祥の伝統医療で、世界三大医学の一つでもあり世界保健機構(WHO)によって、公式に承認されています。
・アーユルヴェーダ(北インドを中心に発展した伝統医学。 チベットや東南アジアの医学に影響を与えました。)
・中国医学(中医学。 中国地域に伝わる伝統医学です。
・ユナニ医学(ギリシア医学を起源とし、アラビア文化圏・イスラーム勢力圏で発展した伝統医学でヨーロッパでも19世紀まで行われました。)
西洋医学との相違
西洋医学は、病気の症状を取り除く治療医学であるのに対して、アーユルヴェーダは、より健康に、長寿や若さを保つことを目的にした予防医学です。
アーユルベーダでは、≪病≫ではなく、病になったその≪人自身≫を観察します。例えば、 検査で異常がなくても、本人が痛い、苦しい、と思っているならば、それは紛れもなく≪病≫なのです。
あるいは体に異常がなくても、心が幸せを感じていなければ、それは真の意味での健康とは言えません。アーユルヴェーダは、心身ともに健康であることをサポートする予防医学なのです。
アーユルヴェーダ的五元素
自然のあるがままを大切にするアーユルヴェーダでは、宇宙に存在する全てのものは『空・風・火・水・地』の5つの要素で成り立っていると考えられています。人の心と体もこの五元素で成り立っています。
これらの五大元素は、感覚器官(耳、皮膚、目、舌、鼻)と、行為器官(発声、操作、移動、生殖、排泄)を生み出したと言われており、肉体と魂と精神のバランスをつかさどっていると考えられています。
宇宙も人類も全てこの5大要素から成り立っていると考えられていて、これらの5元素の組み合わせからできる≪ドーシャ≫と呼ばれる生命エネルギーが全ての物質にも存在していると考えられています。しかし心の健康なくして体の健康はあり得ません。アーユルヴェーダでは心の状態を第一とし、心身の相互関係を最重要視しています。
ドーシャについて
アーユルヴェーダの治療法の根幹を成しているのは、【トリ・ドーシャ理論】と呼ばれる理論で、≪トリ≫は数字の3、≪ドーシャ≫は濁りを意味します。アーユルヴェーダでは、体を構成するエネルギーを【ドーシャ】と呼び、ドーシャのバランスが人間の体質・性格などに影響し、ドーシャの乱れが病気を引き起こすとされています。
ドーシャには【プラクリティ(生まれ持った本質)】と【ヴィクリティ(過剰)】があり、ヴィクリティとなったものをそのまま放置してしまうと、心も体も健康ではなくなってしまいます。 つまり、アーユルヴェーダでは生まれつき、体質は決まっていると考えられていますが、日々の小さい習慣が積み重なってそれが原因となり、様々な体調の変化や不調を生みだす場合があると考えられています。
またドーシャは【ヴァータ】【ピッタ】【カパ】という3つの生命エネルギーを持っており、ヴァータやピッタ、カパが余分に増加するとドーシャが乱れ、病気になるという考え方なのです。
ドーシャの乱れを整えることで心身の健康を取り戻していきます。代表的なものには、全身のオイルマッサージで過剰なドーシャを溶かしドーシャのバランスを整えるアビヤンガや、頭部に温かいオイルを垂らし続けることにより瞑想状態をもたらしドーシャを安定させるシロダーラなどがあります。ドーシャのバランスを整えると体内が浄化され、バランスの調整、毒素の排泄、老化防止などの効果が見込めます。
舌磨き…口臭の原因にもなる舌苔(下についた白っぽいもの)は、前日などに食べたものがうまく消化できないでいた「未消化物」が舌まで上がってきたもの。「タングスクレーパー」を使って、やさしく舌磨きをすることでデトックスに。
鼻うがい…鼻が詰まっているということは、気の流れが詰まっているということになります。朝、鼻うがいでその流れを解放してあげると有効です。やり方は、ネティポットという専用の急須のような形をしたポットで行いますが、ポイントはぬるま湯200~300mlに小さじ半分の塩を入れた塩水を使用すること。鼻うがいの後は、セサミオイルを鼻の穴に塗って保湿することが有効です。。鼻が乾燥すると細菌やウイルスが入りやすくなるのでそれも防いでくれます。
耳マッサージ法…アーユルヴェーダでは、耳をマッサージすることで、深くリラックスでき、ストレス性の不眠や難聴、顔のこわばりを取り除き、カラダを温めるなどの働きがあるといわれています。
1. 耳全体を人差し指と中指の間に挟み、上下に5回ほどこする
2. 耳の横部分をつまみ、後ろに向かって5回ほどゆっくり回す
3. 耳たぶをやさしく揉みほぐす
4. 耳たぶの上部分を下から上になぞるように揉みほぐす
5. 耳全体を手で覆い、後ろに向かって円を描くようにゆっくりと5回ほど回す
ヴァータ(風のエネルギー)について
風のように“変わりやすい”で表されます。ドーシャは遺伝的な要素が強いため、民族によって大まかな傾向がありますが、日本人はこのヴァータタイプの人が多い
- 生来痩せ型で華奢な体形をしています。手足は冷たく冷えやすい。
- 胃腸の調子は変わりやすく、気分によって食欲にムラがあり、ときに大食いしますが、体重がたいして増えない。
- お腹にガスが溜まりやすく、便秘しやすい。
- 動作は素早く、物事をてきぱきとこなす。
- 素早く新しい事を理解しますが、忘れるのも早い。
- 熱中しやすく、精力的、創造的ですが、一方で疲れやすく、しばしば頑張り過ぎてしまう。
- 熱しやすく冷めやすい、変化を好み、気分が変わりやすく予想できない。
- ストレスに対して心配や不安を感じ、自分を責める傾向にある。
- 睡眠は比較的短く、夜眠れないこともある。
ピッタタイプ(火のエネルギー)について
優れた知性と行動力で自己実現が高い、リーダー気質。ピッタの基本的な性質は火のような“熱さ”です。
- 体型は、中肉中背で筋肉質。
- 皮膚は温かく赤みを帯びており、日焼けすると黒くならずに真っ赤に炎症しやすい。
そのため、日に当たるのを嫌います。 - 消化力が3つのドーシャの中で最も強く食欲旺盛、30分でも食事時間が遅れるとひどく空腹になります。食事を抜くと我慢できずイライラします。
- しばしば喉が渇いて冷たいものを好みます。
- 明るく、自信に溢れ、勇敢です。
- 知性的で聡明、分別があり、きちんと正確に行動します。
- 人前で話すことが得意で、よきリーダーになり、自分の意見を主張し、議論を好み、ときに批判的です。
カパ(水のエネルギー)について
行動も話し方もゆっくりで、愛情深さを持ち合わせています。争いを嫌うあまりに我慢してしまい、肉体的にも精神的にも、色々と溜め込んでしまうのも特徴で放っておくとすぐに停滞してしまい、動くことを嫌がり、変化を受け入れられないようになってしまいます。カパタイプの基本的な性質は“のんびり”です。
最も幸せにみなされるカパですが、バランスを崩すと、執着が強く、強欲、頑固で独りよがり、変化を嫌い、無気力、怠け者になります。
- 体型は大柄でずんぐり太りぎみ、頑丈で最も体力があります。
- 皮膚は色白、オイリーでしっとりなめらかです。
- カファタイプの人は、すべてがスローです。食べるのも消化もゆっくりですが、食べることが好きで、すぐに体重が増えてしまいます。喋るのも行動もゆったりと落ち着いています。
- 新しいことを理解するのに時間がかかりますが、一度理解すると記憶力はいいです。
- ゆっくり考えてから決断します。
- 朝起きるのもゆっくりで、睡眠は深く長くときに寝過ぎてしまいます。
- 性格は、愛情深く、寛容で、忍耐強く穏やか。
- 他人の感情を尊重し、受容的で、争いを嫌い、平和を好みます。
- ストレスに対しては、衝突を避けて引きこもりがちです。