・マインドセットという記憶の塊を最適化するために情報の整理を行っていますので正常な脳の働きです。この時、いろいろな情報がランダムに呼び出されて自分に必要な情報を取捨選択しています。
・前頭連合野という部分が活動して作業記憶と呼ばれる一時的な記憶(数分ぐらいで消えてしまう一時的なもので、夢の内容をすぐ忘れてしまうのはこの記憶がすぐに消えてしまうからということが分かっています。)に呼び出されて必要かどうかが検討され、この作業記憶にはランダムないろいろな情報が入っていて、それぞれにはあまり「意味的な」関連はないらしく、この状態で目がさめると頭の中にはいろいろな情報が、イメージの形で残っています。このイメージを私たちの「意識」が認識することになり、そのイメージが鮮明に残っていると「ああ、夢を見ていた」となるのです。
・さらに、脳は都合の良いように情報を結びつけてストーリーを作ってしまう習性があるため、ランダムなイメージを無理矢理結び付けてしまい、しばしば夢が荒唐無稽な話になってしまうわけです。つまり夢とは、睡眠中の脳の重要な作業の一部を覚醒した意識が認識し、補完という作業を行った結果であると説明できます。
この作業は私たちが生き残るために必要なマインドセットを作り上げていくということですが、マインドセットは私たちの経験に基づく情報であり私たち自身そのもの、つまり個性や人格形成に関わっているのです。
・もう少し細かい視点で見てみると、寝る前に経験した情報を脳の中だけで再度体験すること、その時にいらない情報は排除していくこと、を行っているといえます。
・これは生きるためのリハーサルのようなもので、次に同じような状況になった時に、より効率よく行動するための作業ともいえるわけです(これは、動物を使った多くの実験で証明されています)。
・さらに、脳内で何度も再体験することによって、例えば辛い体験やトラウマなどに伴う大きな感情の動きをできるだけ小さくしていく、自己治癒的な役割も持っているようです。
そのような理由から良質な睡眠は質の良い夢をみることにつながり、それは心身の健康にも繋がっているといえるのです。